血液サラサラ薬内服中の方へ

血液サラサラ薬(抗凝固剤・抗血小板剤)無休薬手術・検査について

最近、脳梗塞や心筋梗塞の予防薬として「血液をサラサラにするお薬(アスピリンなど)」を内服されている方が増えています。手術や検査を受けるときは、出血を防止するために、それらのお薬を1-2週間程度お休みしてから行う病院がほとんどです。しかし「血液をサラサラにするお薬」を休むと血液が固まりやすくなって、脳梗塞や心筋梗塞を発症する恐れがあります。当院では様々な工夫をすることで出血のリスクを軽減し、「血液をサラサラにするお薬」を休むことなく、手術・検査を行っております。手術や検査をちゃんと受けたいけど「血液をサラサラにするお薬」を休むのは心配という方は当院でお気軽にご相談ください。
上記の詳細は下記の学会で発表しております。
第73回 日本泌尿器科学会埼玉地方会(2016年6月 川越市)
抗凝固剤・抗血小板剤無休薬下前立腺生検および経尿道的手術の経験
第19回 埼玉老年・泌尿器科学会(2017年7月 さいたま市)
抗凝固剤・抗血小板剤無休薬下前立腺生検および経尿道的手術の経験
~重篤な合併症のない検査・手術を目指して

発表要約

<目的・背景>

近年、急速に進む高齢化社会の影響で、抗凝固剤や抗血小板剤を内服している患者が増加している。当院は日帰り手術に特化した泌尿器科専門クリニックであるが、開院以来、手術や前立腺生検前後は一定期間、主治医の許可を得たうえで抗凝固剤・抗血小板剤の休薬を指示していた。しかし日本国内および海外でも、それらの薬剤の休薬中に脳梗塞や心筋梗塞を発症した症例の報告が散見されるため、2015年3月より患者の承諾を得て抗凝固剤・抗血小板剤無休薬下前立腺生検および経尿道的手術を開始した。

<対象と方法>

2015年3月から2017年5月までに当院で前立腺生検および経尿道的手術を施行した1355例中、抗凝固剤・抗血小板剤内服患者207例のうち患者の同意を得られた142例に同薬剤無休薬で検査および手術を施行した。内訳は前立腺生検113例、TUR-Bt 20例、TUEB 5例、膀胱砕石3例、内尿道切開 1例であった。麻酔は27Gの極細スパイナル針を用いサドルブロックで行った。前立腺生検は経会陰式超音波ガイド下とし12-16カ所を18Gワンハンド型自動生検針にて採取した。

<結果>

142例すべての症例で麻酔(サドルブロック)に伴う合併症はなく、検査・手術後の脳血管・心血管系のトラブルはなかった。前立腺生検113例では検査後の血尿・排尿障害など合併症を認めなかった。経尿道手術29例中、TUR-Btの2例で肉眼的血尿が2~3週遷延したが保存的治療で軽快した。

<結論>

前立腺生検や経尿道的手術は麻酔方法・手術方法を工夫すれば抗凝固剤および抗血小板剤を無休薬でも安全に施行可能であった。