お風呂で気付こう! ~ピンポン玉、お湯漏れ!?~ 女性の方、入浴中に陰部に違和感を感じたことはないでしょうか。あるいは陰部に「ピンポン玉」のような柔らかいものを触れる、コリっとした硬いものを触れるといった経験はないでしょうか?もしかしたら、それは骨盤臓器脱かもしれません。 骨盤臓器脱は腟(ちつ)から膀胱や子宮、直腸などの臓器が出てきてしまう疾患群で、子宮脱や膀胱瘤(ぼうこうりゅう)などが代表的です。出てくる臓器や出てくる程度によって様々な排尿・排便トラブルを生じます。それなりに飛び出ていても自覚していない方も多く、婦人科検診で初めて指摘されるということも少なくありません。骨盤臓器脱は命に係わる病気ではないですが、尿や便の症状ですので生活の質に直結します。一方で、ちゃんと治療すれば症状を改善・治癒することが可能な疾患です。排尿・排便のトラブルを抱えているという方はぜひ一度お風呂で陰部をよく触れてみてください。 お風呂では、浴槽に浸かっている間に、飛び出た臓器が引っ込んでしまう方もいれば、逆に飛び出してくる方もいて興味深いところです。水圧と腹圧のバランスの問題だと思いますが、引っ込んでしまう方であっても、浴槽からあがって体を洗っているときに、再度飛び出て触れるようになるようです。また、臓器が腟の出口から飛び出し続けると、腟の口があんぐりと開いたままになり、いわゆるしまりの悪い状態になってしまいます。そうなると、お湯が腟内に入り込んで溜まってしまい、お風呂から上がって体を拭いて服を着た後に、じんわりと下着が濡れてくる、いわゆる「お湯漏れ」の状態になることがあります。 お風呂は、骨盤臓器脱を自覚するいいチャンスです。恥ずかしいからと言わず、自分のものですから、ぜひお風呂で陰部にそっと触れてみて、何か触れないか確認してみてください。 土曜午前外来担当 森山真吾