食の欧米化と前立腺癌 食の欧米化と前立腺癌 近年、日本を含むアジア諸国では 食の欧米化 が進み、それに伴い 前立腺癌の発症率が上昇 しています。食事の変化が前立腺癌のリスクに与える影響について、主に以下の要因が考えられます。 高脂肪・高カロリー食の影響 欧米型の食事は 赤身肉や加工肉の摂取が多く、高脂肪・高カロリー であることが特徴です。特に 飽和脂肪酸の過剰摂取 は、前立腺癌のリスクを高める可能性があります。脂肪が多い食事は アンドロゲン(男性ホルモン) の分泌を促し、前立腺細胞の増殖を助長すると考えられています。 乳製品の過剰摂取 乳製品に多く含まれる カルシウムの過剰摂取 も前立腺癌リスクと関連があると報告されています。カルシウムが ビタミンDの活性を抑制 し、前立腺細胞の異常増殖を促す可能性が指摘されています。 抗酸化物質の摂取不足 従来の和食には、大豆製品や緑黄色野菜 が多く含まれ、抗酸化作用 により癌の発症リスクを低下させる効果が期待されます。しかし、食の欧米化により、大豆イソフラボンやリコピン(トマトに多く含まれる) などの摂取量が減少し、前立腺癌予防の効果が低下している可能性があります。 オメガ3脂肪酸の摂取減少 和食に多い 魚の摂取量が減少 し、オメガ3脂肪酸の摂取不足 も前立腺癌の増加と関連している可能性があります。オメガ3脂肪酸には 炎症を抑える効果 があり、癌の発生や進行を抑制する役割があると考えられています。 まとめ 食の欧米化により、前立腺癌のリスク因子である 高脂肪食、乳製品の過剰摂取、抗酸化物質不足、オメガ3脂肪酸不足 などが増え、日本でも前立腺癌の発症率が上昇しています。前立腺癌の予防には、バランスの取れた食事 を心がけ、魚・大豆製品・野菜・果物を積極的に摂取 することが重要です。 木曜担当医 安宅勇人