慢性前立腺炎とは? 疫学 慢性前立腺炎は、前立腺に関連する慢性的な症状を引き起こす疾患で、20~50歳の男性に多く見られます。全男性の10~15%が一生のうちに経験するとされ、慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)が大部分を占めます。感染性慢性前立腺炎は比較的稀です。 症状 骨盤周囲の痛み、排尿困難、頻尿、残尿感などの下部尿路症状が主な特徴です。また、射精時の痛みや性機能障害がみられることもあります。これらの症状は数カ月以上持続し、生活の質(QOL)を大きく低下させます。 検査 診断には問診と身体診察が重要で、前立腺マッサージ後の尿や前立腺液の培養を行うことがあります。NIH慢性前立腺炎症状指数(NIH-CPSI)は症状の評価に使用されます。超音波検査や尿流測定も補助的に行われます。 治療 治療は症状に応じて行われます。感染性の場合、抗菌薬(キノロン系など)の投与が基本です。一方、非感染性では、NSAIDsやα遮断薬が用いられます。リラクゼーションや物理療法、心理的支援も有効です。症状が重い場合、低周波刺激療法や手術が考慮されることもあります。根治が難しいため、長期的な管理が重要です。 木曜外来担当 安宅勇人