増加している性行為感染症 男性の性行為に伴う感染症(いわゆる性病)にはどうような病気があるかご存知でしょうか?大きく分けると、排尿した時に痛みやかゆみを感じたり、尿道の先から膿がでたりする尿道炎、ペニスに水泡やイボ状のものができる病気、さらに性器に異常が出ない感染症もあります。尿道炎の原因となる菌には、淋菌(淋病)、クラミジアが有名ですが、最近ではマイコプラズマやトリコモナスが原因となる尿道炎も増えています。尿道炎も菌の種類によって治療薬が異なるので、尿のPCR検査での確認が必要となります。性器の皮膚に異常があらわれる病気には性器ヘルペス、梅毒、尖圭コンジローマがあります。初発の性器ヘルペスは痛みを伴う水泡状の皮疹ができますが、再発の場合は皮疹が出ないこともあるので診断が難しい場合もあります。梅毒は過去の病気と思われる方もいらっしゃると思いますが近年急増しています。梅毒の多くは発症初期に性器に硬結ができますが、自然に消えてしまうこともあり、血液検査をしないと見逃しやすい病気です。尖圭コンジローマはカリフラワー状のイボが性器にできる病気で、主に塗り薬で治療します。性器に異常がでない感染症の代表格がエイズ(HIV感染症)ですが、これは血液検査を行わないと診断ができません。いずれの性行為感染症も潜伏期間(数日から長いものでは3ヵ月位)があるため、感染初期には診断がつかない場合もあります。感染の可能性のある方は泌尿器科を受診していただき、時間をかけてよく調べる必要があります。完全に治癒していない状態で性行為を行うと大切なパートナーに移してしまう可能性もあるため、しっかり治療しましょう。また通常のセックスだけでなくオーラル(口腔)から感染することも多いので注意が必要です。 理事長 加藤裕二